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あなたの親愛なる良心様へ

古民家改修

建築設計事務所を営まれるあなたの親愛なる良心様へ

私は一地方公務員(53歳)です。同居人は母(78歳)、妻(48歳)、長男(22歳)、長女(17歳)であります。

一昨年夏ごろより住宅を新築したいと希望するようになりました。でも2代60年経った家は大黒柱に見られるように色つやはいいし木組みだけはまだ大丈夫ではないだろうかと素人なりに思っておりました。

年も明け正月、近所の大工さんと年始会で会いその話をしましたら『今なら安く出来る、木材の切り時期もいいから是非やらせて欲しい。』との返事でした。そこで木材の伐採についてことこまかく話を聞かせていただきました。

古民家イラスト仕事始めの日、友人にこの話をしてみたところ建築設計事務所に設計してもらった方がいいとの意見でした。この友人は3年前に家を新築したばかりで、その時工務店に全て任せきりでおいたので建築途中で気付きを色々と注文し、工務店も気軽に対応してくれはしたが、後で追加工事金として約50万円の請求がきた。これを知人で建築をしている人に見てもらい、色々アドバイスを受けたけれどその工務店と折衝は出来ずじまいで、結局請求どおり支払った、とのことでした。

そこで、もう一人の友人、これは一年前に某ハウスメーカーのプレハブ住宅を購入したばかりである彼の意見を求めると、『使い勝手はすごくいい、息子夫婦は充分満足しているが、私には少々軽々しい家なのでやはり昔なりの造りがいいと思う。』とのことでした。
帰宅後家族5人で話し合いました。母は、『今まで不自由なく住まいできる家であるのでこのままで充分である。』この2代も続いた家をこのままおきたいとの希望でした。子供達2人は新しい家が欲しい、特に個室がある家を希望しました。勤めている長男は結婚後同居するならこの家では出来ない。風呂は離れているし、台所は土間だし、トイレは暗いし、現代的な家ではないと主張しました。妻は何の意見も言わず聞いておりましたが、後で二人になってやはり将来息子夫婦と同居したい、そのためにも新築もやむを得ないと思うと申しました。

だいぶ前であったが、某新聞の文芸欄に載っていた『民家の再生』の記事を思い出し、新聞社に問い合わせて送っていただきました。『200年前の民家、わが家に再生』のタイトルの記事でした。二枚の白黒写真の載っているその記事は、昔の家を再生して現代でも充分住める様になるとの紹介でした。
その文章の中に二人の建築家の名前が出ていましたが、私は二人とも知らない人でした。又、建築家がこの様な仕事までするとは全然思いもよりませんでした。

私は建築設計士という人に知人はありません。ましてその人達がどの様な仕事を業としているのかは毛頭知るよしもありませんでした。

どうしたものかと迷ったあげく、三日後にA建築設計事務所に出かけることにしました。従業員の方が10名くらいの事務所であったかと思います。所長にお会いして『今住んでいる家を再生したい。』と希望したら『お金も思っておられるより結構かかるので新築する方が逆に安くなるだろう。』と云われて『現在新築すると、坪当たり○○万円位でいい家が出来ますヨ、その方が得と思います。』とのことで私の意図するところをくんでいただけず、あまり詳しく質問することもなく頭をさげて帰りました。

その後わかったことは先述の新聞の二人の建築家についてでありました。一人は清家清さんでもう一人は降幡広信さんでした。申すまでもなく日本でも名の通った建築家でしかも住宅を主に手掛けておられることを知り、この方々が取り組んでおられることが悪いはずはないと信じ、再度B設計事務所に出向きました。
この事務所は3人でやっておられました。所長さんも若い方でした。話はどうしても『再生』のことではなくて『新築』の話となり、所長さんの思惑があるらしく色々な本を見せていただきましたが、私の本題とはおおよそ違う方向に行き、またまた退散せざるを得ませんでした。でも住宅の設計管理料が総工事費の約10%くらいであり、どの様な作業をしてもらえるのかおぼろげながら判りました。総工事費の10%は高いのに驚きました。
こうなると意地です。新聞記事の末尾に書いてありました=再生された民家は一般的には基礎工事をしっかりやり直せばこれから100年はビクともしません。費用は新築より少し安いくらいです。=を頭におきながら出来ればこの家を再生してみようと思うようになりました。

そこで再度C設計事務所の扉をたたきました。ここは所長さんともう一人若い人がおられました。所長さんは40歳半ばの人で私の希望を熱心に聞いて次の事を答えられました。*現在の建物を調査してみる必要がある事。
*再生するとして躯体は使えても屋根、外壁などは新規となるので費用も新築とほとんど変わらない位になる事。
*現在の躯体を使うので平面的に幾分不自由なところが出来る事。
*今どきの木材より使われている木材が古木故、強度的には強く充分長くもつことが考えられる事。
*新建材を極力使わず再生する事。
そして見せていただいた民家の再生と称する本の中に降幡広信さんの手掛けられたものが、カラー写真で実に美しい構成で載っておりました。これで私の意は決したのです。
この事があって、二人の間には施主と設計士との関係が生まれ民家の再生が始まりました。
約10か月、今この生まれ変わった住宅に住んで一番喜んでいるのは母です。皆も来訪者の意見を聞くたびに自慢している毎日です。

親愛なる良心様、私はこの一年を通して思ったことは、
(1)建築設計事務所の仕事(作業)のいかに多いこと、又それが多岐におよぶこと。古民家再生
(2)同じ建築士でもA,B,Cなどがあり、その力量の差(技術差)は計り知れないこと。よって誰を選ぶかは充分検討を要すること。
(3)建築設計事務所の報酬は10%で決して高いとは思わないこと。
(4)建築設計士(建築士)は社会的な職業的地位が確立されていないこと。
(5)建築設計事務所に依頼してよかったこと。等々です。

何よりもたよりは良心様だけです。あなたがしっかりと根強くなられれば、世間の見る目が建築士の地位を確立してくれることは約束されると思います。
頑張って下さい。
私は興味深く見つめてゆきたいと思っております。

最後に建築家の仕事は夢のある魅力充分なものであることもつけ加えておきます。

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